伊勢神宮・内宮
三重県伊勢市宇治館町神館
■アマテラス以前から伊勢に土着していた神、古殿地の興玉
伊勢神宮・内宮。皇祖神アマテラス(天照大御
神)を祀る。内宮の起源についてはさまざまな説
があり定かではないが、『日本書紀』の伝承がひ
ろく知られている。
アマテラスはもと宮中にあって歴代の天皇が
祀っていたが、崇神天皇の代に、神威を畏れ
て宮中の外(大和・三輪山麓)に祀り、垂仁
天皇のとき宇陀、近江、美濃を経て、伊勢の
五十鈴川上に鎮座した。
アマテラスは、「伊勢は常世の浪の重浪よする
国なり。傍国のうまし国なり。この国に居らむと
思う」と希望を述べたとされる。常世とは、海の
かなたの理想郷のことだが、常世からしきりに波
が打ち寄せる美しい国なので、ここに住みたい
……といったという。各地を巡り、探した結果、
「うまし国」が見つかったと無邪気に喜んでいる
ように思える。アマテラスは、いわば都から伊勢
に移り住んできた客人神だったのだ。
(『磐座百選』より一部抜粋)
花の窟神社
三重県熊野市有馬町上地130
■イザナミ以前の原風景、「ホト」を祀る大岩壁
七里御浜の北端近くに奇妙な岩塊が突出してい
る。花の窟神社の神体とされる巨大な岸壁だ。
イザナミ(伊奬冉尊)の墳墓とされている。『日
本書紀』神代巻上の「神生み」に、イザナミが火
の神カグツチ(軻遇突智)を産んで亡くなる場面
がある。
伊奬冉尊、火神を生む時に、灼かれて神退去りましぬ。
故、紀伊国の熊野の有馬村に葬りまつる。土俗 、
此の神の 魂を祭るには、花の時には亦花を以て祭る。
又 鼓吹幡旗を用て、歌ひ舞ひて祭る。
紀伊国の熊野の有馬村に葬りまつる……とされ
たところが、花の窟とされているが、神社の説明
板に書かれた文章が、イザナミ以前の原風景を伝
えている。
(『磐座百選』より一部抜粋)